効果的なOJT

20代後半から30代前半にかけて、採用担当をした。インターネットのない時代だから深夜まで学生に勧誘の電話をすることも多かったが、職務の一つとして、全国の高専の就職担当教授に求人依頼に行くことがあった。出張後に面会記録を定型の報告書(当時は手書きである)で上司に報告することになっていたが、読書はしない、漢字を知らないにもかかわらず、仕事はできると己惚れ、「割腹の良い先生に面会・・・」といった類の報告書を書いていた。主任⇒人事課長⇒人事部長まで回覧され、人事部長から赤字で「恰幅の良い・・・」と数か所添削されたものが戻された。

口頭で注意を受けたわけではなかったが、己の愚かさを知ることになり顔から火が出るほど恥ずかしかったことを覚えている。それからというもの、あやふやな漢字については辞書を引いてから書く習慣となった(PCソフトでの自動変換機能がない時代の話である)。

会社では、幾多の教育研修や他の上司からのOJTも受けたが、このときほど教育されたと感じたことはないと思っている。

教育(研修)効果は、そこにかける金や時間に必ずしも比例しない。ほんの一瞬でも、たったひとつの赤ペン先生でも、その後の人生を変えるほどの影響を受けることがあるのである。