育休中のリスキリングは、おかしなことなのか?

岸田文雄首相が2023年1月27日の参院本会議で、賃金上昇やキャリアアップに向け、産休・育休中のリスキリング(学び直し)を「後押しする」と答弁したことが批判されている。これを受けて、首相は30日の国会答弁で、「あらゆるライフステージにおいて、本人が…

メンバーシップ型におけるダイバーシティの課題(年齢その他・・・)

性別、年齢、障がい、国籍その他、個々の違いを受け入れ、認め合い、生かしていく・・・「ダイバーシティ&インクルージョン」が重んじられる流れにあるのはよいことだが、日本企業の多くは、依然として、「年齢(正確には入社年次)」に呪縛されているのでは…

キャリア形成には社内ローテーションだけでは不十分

欧米多国籍企業では、一度社外に出た人材が高いポジション(例:CEO、EVP)で呼び戻されたり、その後にまたクビになったりすることが日常的に起きている。なかなか刺激的であり、自分も頑張ろうという気持ちにもなる。 日本企業の社内ローテーションで育てて…

年功型賃金とジョブ型賃金

職業生活を始めた頃、10年ほど上の社員の給与・賞与は右肩上がりに増えており、先輩からは「順送りだから・・・」と言われた。だが、日本経済と会社の業績は停滞の時代に入り、順送りの恩恵を享受することはなかった。日本型雇用システムの特徴である年功型…

日本企業における早期退職

沈没船ジョークというものがある。 豪華客船が航海の最中に沈みだしたが救命ボートが足りない。船長は乗客たちに速やかに船から脱出して海に飛び込ませるために、各々の外国人乗客にこう言った(以下、一部の国のみ抜粋)。 アメリカ人には「飛び込めばあな…

新卒一括採用と中途採用

2022年春闘がスタートした。本日(2月3日)付けの読売新聞に、経団連の大橋徹二副会長のコメントが載っていた。「・・・日本型雇用は、新卒一括採用や年功型賃金などを特徴とするが、決して悪い制度ではなかった。そのおかげで日本の若年層の失業率が…

メンバーシップ型雇用システムのPros&Cons(制度・運用とマインドセット)

メンバーシップ型(日本型)雇用システムの制度・運用面の特徴の多くは、パフォーマンスと報酬(Pay)の関係を長期間で決済しようとするところから来ている。自らの育成をじっくり考える社員にとっては、安定した処遇のゆえに達成の難しそうな課題にも果敢に…

メンバーシップ型雇用システムのPros&Cons

働く環境が異なれば、マインドセット(Mindset、心構え)も変わる。外部労働市場を意識するかどうかが、日本の伝統的大企業の「メンバーシップ型雇用」と、欧米企業の「ジョブ型雇用」のマインドセットの分かれ目となる。メンバーシップ型の下では、社内の「…

経団連春季交渉方針、ジョブ型雇用「検討必要」について

春闘の季節が始まり、日経新聞(電子版)2022年1月18日に、以下の記事が載っていた。 「今回の報告では、年功型賃金について「転職等の労働移動を抑制」「若年社員の早期離職の要因の1つ」と指摘したのも特徴だ。新卒一括採用、終身雇用など日本型雇用システ…

副業・兼業とキャリア形成について

副業や兼業は、新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、そして第2の人生の準備として有効である・・・首相官邸「働き方改革実行計画」で2017年3月に示された考え方である。以降、企業や働き手の副業・兼業への関心が高まっているようである…

外国人労働者の人事・労務に役立つ支援ツール(厚労省)

厚生労働省が、外国人を雇用する事業主・人事労務担当者向けに、企業の人事・労務に関する多言語による説明や、困りごとの背景にある文化ギャップを埋めることに役立つ下記3つの支援ツールを新たに作成しました。 【外国人労働者の人事・労務に役立つ3つの…

個人事業主の労働効率

会社勤めの人事屋から、個人事業主としての人事コンサル業に転じて2年目となった。 自分の自由になる時間が多いと罪悪感につながるマインドセットから脱却し、真に必要な労働を自らの責任において行うことにようやく慣れてきたこの頃ではある。 コロナ禍のせ…

業務委託という働き方

2021年4月より施行予定の改正高年齢者雇用安定法により、事業主には従業員に対し70歳までの就業機会の確保をする努力義務が課されることとなった。ここで目を惹くのは、「雇用」の他に「業務委託」という選択肢が用意されていることである。 会社から見て「…

定年後にどう働くのか?-改正高齢法で感じたこと

改正高年齢者雇用安定法が2021年4月より施行され、事業主には、70歳までの雇用確保(①定年引上げ、②定年制廃止、③継続雇用制度のいずれか)か、④業務委託契約制度、⑤社会貢献活動に従事する制度の導入のいずれかの措置をとることが努力義務となる。 このこと…

【提言】新型コロナウィルス感染に対し企業が取るべき措置―労災及び雇用調整助成金について

先週、首相による緊急事態宣言が出されたものの東京を始めとする大都市での感染拡大は止まらない状況です。 新たに、首相から会社への出勤も7割程度を減らすようにとの要請も出されています。これに関し、企業経営者や人事がどのような対応をすべきかにつき…

「あなた方、間違うよ」~経団連会長が語る日本経済の課題~について

NHK News WEB 2020年1月9日 17時33分に掲載された記事について、日本型雇用を再検討する時期に来ているとの中西経団連会長が語る内容に目新しさはないが、引用の後に若干の私見を補足してみたい。 ******(ニュース記事引用)*********** …

ILO Convention 190 & Japanese new labor law on violence and harassment at work

Last year ILO created the first international standard that aims to put an end to violence and harassment in the world of work(see article 4 below) . In Japan in 2019 as well, the new labor law on workplace bullying passed, which will take…

過労自殺・パワハラ自殺を防ぐためにすべきこと

過労自殺に対して企業の安全配慮義務を認める「電通事件判決」が出されてから20年近くが経ったが、有名企業の社員の過労自殺やパワハラ自殺のニュースが後を絶たない。 2019年11月20日、労働政策審議会の分科会が、職場での「パワーハラスメント」の防止に向…

中途採用率の公表義務化―新卒一括採用からの官製転換施策!?

12月8日(日)の読売新聞1面トップ記事に「中途採用率の公表義務化」の記事が載っていた。それによると、「従業員301人以上の大企業に対し、中途採用と経験者採用が占める比率の公表を義務づける方針を固めた。新卒一括採用の転換を促し、働き方の多様化を進…

新著「あなたの会社にドラマクィーンはいませんか?」を12月19日に上梓します

www.rodo.co.jp 12月19日に、労働新聞社より「あなたの会社にドラマクィーンはいませんか?」を上梓します。 本書は、ドラマクイーン、ナルシスト、ブレイマーなど、異常な言動をとる「残念な管理職」(その行動の多くは、パワハラに該当する可能性がありま…

定年後の心象風景(その2)

前回のブログの続きである。 定年後の世界に怯えるのは、「男は仕事、女は家庭」という古風な考え方をする日本男児に多いのかもしれないが、そもそも、家族や身近な共同体を離れて、縁もゆかりもない人達と「会社」という組織で(無理やり)働かされる形態は…

定年後の心象風景(その1)

「定年後」をテーマにした書物が売れている。 平均寿命が80歳を超える一方で、多くの日本企業の定年制は60歳のままであり、残りの20年をどう埋めていくかを悩むサラリーマン諸兄が多いからである。 より切実には、公的年金の受給開始年齢が65歳まで引き延ば…

東京大学「教養学部生のためのキャリア教室」での講義

東京大学教養学部より委嘱を受け、2019年10月25日、駒場キャンパスにて、同学1・2年生約50名を対象に「教養学部生のためのキャリア教室」の授業を行いました(60分講演、30分質疑応答)。「教養学部生のためのキャリア教室」は、社会の様々な分野に携わる人…

Courage and Activeness– Tips for Improving English as a non-native speaker 度胸と積極性ー日本人の英語力向上に必要なもの

Whatever you would like to do, you need a spoonful of courage and activeness; so do the Japanese who want to improve their English. Communicating in a language other than one’s mother tongue is just like joining a handicapped match; you ne…

English for Japanese as business communication tool

What surprised me first when I started working at a foreign capital company in Tokyo was most Japanese employees’ English levels are not enough for international business communications. English resumes of job applicants were the same; the…

日本人の目指すべきビジネス英語について

初めて外資系企業に勤めたときに驚いたのは、ここでも、日本人の英語の水準は高くないということだった。英語ができるつもりで英文レジュメを送ってくる候補者のそれも、基本的な冠詞の使い方を間違っていたり、残念なものが多かった。ふと、何年も前に、イ…

鈴木たかつぐ社会保険労務士事務所の開設

先月末で、人事総務法務責任者として勤めた外資系企業取締役を退任し、今月から「鈴木たかつぐ社会保険労務士事務所」を立ち上げることにしました。外資系に転ずる前には、日本の伝統的な企業で30年間、人事労務に関するあらゆる分野の経験を重ねてきました…

英語力向上の秘訣ー度胸と積極性

どんなことをするにも、多少の度胸と積極性が必要だ。 母国語以外の言語でコミュニケーションするのは、ハンディキャップマッチに参加するようなものだから、自分の居場所(Identityと言っても良い)は自分で確保する心構えが肝心で、多少の度胸と積極性が要…

英語力上達のもうひとつのカギは、「かっこうよく話そう」と思わないこと

英語を介して外国人と仕事でコミュニケーションを取るようになってから20年以上経った。最初の頃は英語ネイティブの人と同じような発音で流ちょうに話せることを目標にしていたように思うが、今は、違う。どのように話すかよりも、何を話すかということの方…

英語力向上の近道ーモチベーションの持ち方次第

外資系企業で採用面接を6年間行ったが、英語に関して言えば、応募者は完全に二手に分かれる・・・ほとんど勉強してこなかった人と、それなりに努力して向上させて来た人にである。だが、英語力がどの程度のレベルかを別にして、外国人とのコミュニケーション…