日本企業における早期退職

沈没船ジョークというものがある。

豪華客船が航海の最中に沈みだしたが救命ボートが足りない。船長は乗客たちに速やかに船から脱出して海に飛び込ませるために、各々の外国人乗客にこう言った(以下、一部の国のみ抜粋)。 

アメリカ人には「飛び込めばあなたは英雄になれる」

フランス人には「飛び込むな!」

日本人には「皆さんそうしています!」

 

新型コロナウイルス禍が直撃したアパレル、観光、鉄道業界を含め、上場企業が2021年に募った希望退職者数は前年に続き1万5000人を上回った。足元ではオミクロン型が猛威を振るっており、22年も募集人数や社数が高水準になる可能性がある。(日経新聞電子版1月20日を参考にまとめた)

 

早期退職といわれるものの中には、自ら手を挙げた者だけを対象にするものと、実質的に退職勧奨的な要素をも含むものの2種類があるが、問題は後者の方である。

平時は、職場に点在するローパフォーマーを放置したまま、経営不振になると、年齢基準等の仕切りによる全社一律の早期退職を実施する日本企業は多い。みんなが同じならリストラの痛みは減るかもしれないが、日頃の改善指導を避け続け、突然降ってわいた自然災害のように一律の早期退職を行い、有能な人材まで失ってしまう日本企業に比べたら、日常的にきめ細かな人員調整と退出管理をする欧米企業の方が、従業員に対してよほど親切な扱いをしているのではないかとも思えてくる。


経団連タイムズ寄稿「日本型雇用システムの将来展望(第5回)」
https://suzukit-syaroshi.jimdofree.com/2020/05/31/%E7%B5%8C%E5%9B%A3%E9%80%A3%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E5%AF%84%E7%A8%BF-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9E%8B%E9%9B%87%E7%94%A8%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%E3%81%AE%E5%B0%86%E6%9D%A5%E5%B1%95%E6%9C%9B-5/


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