年功型賃金とジョブ型賃金

職業生活を始めた頃、10年ほど上の社員の給与・賞与は右肩上がりに増えており、先輩からは「順送りだから・・・」と言われた。だが、日本経済と会社の業績は停滞の時代に入り、順送りの恩恵を享受することはなかった。日本型雇用システムの特徴である年功型賃金は、若い間は働き(貢献)より低い報酬を支払い、勤続や年齢の上昇につれ働き(貢献)を超える報酬を支払う報酬システムだが、会社の業績が伸びなければ実現できない。

 

欧米企業の「ジョブ型賃金」は、「職務(ジョブ)」ごとに一定レンジ内で報酬を設定するから、年齢や勤続年数に関係なく、職務の大きさ(ジョブ・サイズ)に応じた賃金が支払われる。しかし、長期にわたり賃金が増える保証はなく、パフォーマンスが低ければいつでも追い出される。

 

人事・賃金制度は、その時のビジネス環境や戦略に基づき変えていくべきと筆者は考えるが、入社後数年間の職業能力育成期間を別にすれば、日本における年功型賃金の歴史的意義は終わったのではないかと感じている。

 

学校を出て、運よく「正社員」のコースに乗れた者だけが、パフォーマンスに難があっても右肩上がりに賃金が上がる一方で、「非正規社員」、「中途入社社員」、出産・育児で職業生活を中断した「女性社員」、60才以降の「高年齢者」などの賃金を低く抑えるシステムが日本全体の生産性を復活させることができるとは到底思えない。その点で、日本の立法・行政が示した「同一価値労働同一賃金」に向けた漸進的な取り組みには意義があるが、労働者のマインドセットが変わることが必要であり、時間がかかると思われる。

https://lnkd.in/gZHwssrF


#年功型賃金 #ジョブ型賃金 #日本的雇用システム #ジョブ型 #メンバーシップ型 #マインドセット