2017-01-01から1年間の記事一覧

外資で働く(23)-個室

日本企業に勤めていた頃、同じ企業グループの人事課長クラスの知人が外資系企業に転じて個室をあてがわれたという話を聞いた。「外資系とはすごいところだな」と単純に感心したのを記憶している。 当時勤めていた日本企業は、業績悪化の影響もあり、年を追う…

外資で働く(22)-イベント

外資系企業では、従業員を社内顧客として大切に扱い、彼らのエンゲージメントを高めることで会社の業績を上げて発展させようとする志向が強い。 日本企業にも同様の姿勢はあると思うが、従業員がイベントを楽しんで明日へのやる気を高める効果より、形にこだ…

外資で働く(21)-ダイバーシティ(Diversity)

グローバルに事業を展開する企業では、人種・国籍・年齢・性別等を問わずに人材を活用することが当然とされている。多様性を「競争優位」の源泉として、組織全体を運営する、ダイバーシティ・マネジメントを行っているからである。 日本企業から外資系企業に…

外資で働く(20)-いつまで働けるのか?

伝統的な日本の大企業に勤める人の多くは、60歳までは当然働き、その後も順次65歳まで働くことを期待して日々の業務に精励している。業績悪化による大量の早期退職や事業売却等の事態に遭遇しなければの話であるが・・・ 日本に拠点を持つ外資系企業も日本…

外資で働く(19)-転職のタイミング

日本企業で職業生活を始めた人が、どのタイミングで外資系に転じるとうまく行くのだろうか。 多くの候補者へのインタビューを通じて達した暫定結論は、最低でも10年から15年は日本企業でビジネスパーソンの基礎と専門性をきちんと磨いてから外資系に転じるの…

外資で働く(18)-外資系企業の社長

社長の仕事は大変だと思う。傍で見てきてそう感じる。外資系企業の日本人社長ともなるとさらに大変である。グローバル本社と国内の板挟みだからである。 ローカル(日本)の文化とやり方を重視し、国内従業員の声に耳を傾けながら経営のかじ取りをしている…

外資で働く(17)-福利厚生

人生をやっていると、失ってありがたさを知るものに出会う・・・昔の恋人、別れた配偶者、先に逝った大切な人々等・・・ 日本の伝統的な大企業の福利厚生制度(Fringe Benefit)にもそのようなものが多い。エジソンをルーツとする米国の名門企業との合弁会社…

外資で働く(16)-やりきった感

外資で採用面接をしていると、応募者から転職理由として「やりきった感」という説明を受けることがしばしばある。 外資系の間で頻繁に転職を繰り返す人は、ひとつの会社に4~5年いると、別の会社に転職したくなるようだ。「今の会社(職場、例えば営業)で…

外資で働く(15)-転職と年収

転職する際に優先すべき検討ポイントは、年収、仕事(職種)、職場環境、社風等色々あるが、人により、またそのときの状況により優先順位は違ってくるだろう。 しかし、生活の基盤となる報酬水準は常に重要な判断要素になると思っていた。 わけても外資系で…

外資で働く(14)-外資系企業のイメージ

外資系企業のイメージとはどんなものだろうか? 先日、社外で話をする機会があり、日本企業との対比で以下のスライドを紹介した。 参加者の多くからはその通りとの感想をいただいたが、中には、もっと生々しい話を期待していたという方もおられた。 筆者が聞…

外資で働く(13)-日本企業との人材の違い

人間は、生来の資質と環境の組み合せで成長していく。 外資系に勤める人材と日本の伝統的大企業に勤める人材の質やレベルに根本的な違いはないが、働く環境が異なることから、Mindset(心構え)がかなり違ってきている。 筆者の私見で違いを整理すると以下の…

外資で働く(12):Report ToとDirect Report"

外資系企業で生き抜くには、直属上司(Report to=報告先)と直属の部下(Direct Report)をきちんと認識し行動することが重要な要素となる。 ”Report to”の対象たる上司から業務指示を受け、報告する義務を負う。”Direct Report”たる部下との関係も同様であり…

外資で働く(11)-雇用の安定

伝統的な日本の大企業と外資系企業の大きな違いのひとつに、「雇用の安定」がある。 日本企業の場合、労働者はそれほど頻繁に転職するわけではないし、パフォーマンスが悪い社員がいても、解雇に至るケースは多くない。その前に、昇給・賞与の評価を下げたり…

外資で働く(10)-サイン

外資系企業に転じて最初に上司から指示された仕事は、社員の給与改定通知に署名(サイン)をすることだった。名前をそのまま漢字で書くかわりに、他の人に真似されないユニークな記号を考えることが期待されており、頭を悩ませた。 日本企業に勤めていたとき…

外資で働く(9)-ボーナス(STI)

大手の日系企業の年間ボーナスは月給の概ね4~5ヶ月分であるが、具体的水準は春闘で決まる。会社の支払い総源資を決めてから各人の配分を検討するプロセスであり、個人の給与からすっきりと支給額を計算できるケースは多くはなかろう。職能給に基づく等級…

外資で働く(8)-人材確保に関する課題

日本の伝統的な大企業と比較した場合、外資には優秀な日本人を確保する上での課題がある。経済産業省の第50回外資系企業動向調査(2016年調査)によれば、主な阻害要因は以下の項目とされている。 主要な項目について、以下に、簡単なコメントを記す。 1.…

新「会社人間」主義ー自分が成長したかどうかを確認する方法

会社に入って5年もすれば、それなりに仕事に自信がついてくる頃である。一般に、新入社員が入社5年目の先輩より仕事ができるということはないであろう。では、5年目と10年目ではどうか。10年目と15年目ではどうか。経験年数と共に職務遂行能力が向上して行く…

落ち着き

身近なところ、 自分から遠いところ、 各々で色々なことが起きる。 一喜一憂してもしようがない。 大事なのは落ち着きであり、ガツガツしないことである。 必要とされるなら、そこから召しが来るはずである。 落ち着いているならば救われ、穏やかにして信頼…

新「会社人間」主義ー年功制と時代

色々問題点を指摘してきたが、年功制が一般的に駄目なのではなく、1999年を中心にしたこの時代においては、不具合箇所が目立ってきたということである。 一般的に成果主義が是で、年功制が非というものではないと思う。年功制は既に長い時を経過し存続してい…

新「会社人間」主義ー年功制の問題点Ⅲ・・・「予測可能性」と能力の出し惜しみ

かなりの部分まで予測可能な制度・運用にしておくと、個人の能力発揮をセーブするマイナス効果が出てくる。「人間は、内在する自発的な理由がない限り、経済合理主義に従って活動するもの」との仮説に立てば、当然の帰結である。ものすごく頑張って成果を出…

新「会社人間」主義ー年功制の問題点Ⅱ・・・中高年齢者の非効率

日本の年齢別人口構成がピラミッド型だった高度成長期では、中高年齢者は会社の中において、功なり名を遂げた長老として衆目の尊敬と「名誉ある地位」を占めることができた。実際に頑張ったことに加え、高年齢者の人数が少なかったからである。 マイナス成長…

新「会社人間」主義ー年功制の問題点Ⅰ・・・市場競争原理から離れている

年功制は、何よりも内部の秩序を優先するシステムである。年次管理は、内部の人間を納得させるための交通整理の手段であった。先進他社に追いつくというような分かりやすく達成しやすい目的の為に、従業員一丸となって力を結集していく局面においては、これ…

新「会社人間」主義ー年功賃金制

資料出所:賃金・労務通信’97臨時増刊11月20日号のデータをグラフ化(縦軸は千円) 年功賃金制度は、長期にわたって従業員を激しい企業内部での競争に駆り立てる上で、大きな効果を上げてきた。 大企業のモデル年収で見れば、大卒初年度の年収300万円が50才…

新「会社人間」主義ー電産型賃金体系

戦前の身分制による賃金格差が解消されたのは、1946年の10月闘争によって成立した電産型賃金体系によってである。 「これは年齢と扶養家族数によって格付けされた生活保障給を中心として、これに労働の質・量に応じた賃金部分を加える方式であり、全体として…

外資で働く(7)-へんな英語

英語を母国語としない欧州系の企業に勤めているせいか、ときどき、違和感のある英語や文章構成に接することがある。 1.Dear○○から始まって、改行もせずに10行も文章が続く例: Dear○○, Enclosed is a packet of materials tobe used in revising, improvin…

ビジネスコミュニケーションとしての英語に関する誤解

多くの日本人には、ビジネスコミュニケーションとしての英語に関する誤解があるようである。外資系企業で働き、採用面接などを通じて感じたことを2-3、指摘しておく。 1.ビジネススキルの涵養がまず為すべきことである: 採用面接をしていると、海外の大…

外資で働く(6)-英語

日系企業に30年勤めた後、欧州系企業に転じて5年近くになる。 グローバルを標榜する日本企業の現実は(例外もあるだろうが)、英語のできない上司のサポートをさせられる英語人材が便利屋として消費され、出世のしにくい構造になっていると感じる。外資系…

新「会社人間主義」-貢献と報酬の長期収支勘定(その2)

このカーブの理論的説明には、「成果と報酬の長期収支勘定が釣り合うように設計されている。」と考えるのがもっとも説得的であるように思われる。 「勤続や年齢に応じて上昇する年功賃金制度について理論的な説明はいくつかある。その代表的なものはいわゆる…

新「会社人間主義」-貢献と報酬の長期収支勘定(その1)

報酬とは、会社の成果をどうやって従業員に配分するかという問題である。数人で興した会社であれば、お互いが納得できるなら、人数割にしようが2:1:1などの比率で決めようが問題はない。お互い顔が知れた範囲で力量も分かるから、納得ずくで配分するこ…

日本におけるキリスト教ークリスチャンとは何か?

13年前に洗礼を受け、毎日曜日にプロテスタント教会に通っている。 きっかけは、子供の日曜学校のおかげで教会と繋がりができた家内だった。誘われるままに私も通うようになり、家内が決心したときに一緒に洗礼を受けた。 さて、「クリスチャン」とは何であ…