新会社人間主義ーやる気の3要素(その2)

前回のブログの続き・・・

「マスロー(Maslow,A.H.)の欲求五段階説」を確認してみる。
人間は低次の欲求から高次の欲求へ移行していく。人間はその可能性の最高の実現に向かって努力するという仮説である。

第一段階 生理的欲求ー飢え、渇き、睡眠、性
第二段階 安全の欲求ー安心、秩序、保護、安定の欲求
第三段階 所属と愛情の欲求ー家族、友人への愛情、グループへの一体感
第四段階 自尊の欲求ー尊敬、自尊心、自己信頼、他人への信頼
第五段階 自己実現ー自己の能力を十分に伸ばす、真善美を追求する
    (「心の研究」教養文庫 本明 寛 158頁より)

戦後の荒廃の中から立ち上がり、驚異的な成長を遂げてきた大企業の労務政策には、秩序・保護・安定・グループへの一体感といった第二・第三段階レベルのものを重視する傾向がまだまだ残っている。これらはもちろん大切な要素であるが、あまりに強調し過ぎると第四・五段階の要素が軽視される印象にもなる。一流企業のトップが私腹を肥やしてつかまるニュースを耳にするにつけ、自己信頼や他人への信頼という言葉はどこへ行ってしまったのかと思わせる。

第五段階の「自己実現」は、元来、企業の経営活動が介入すべき要素ではなく、個人レベルの問題である。但し、「自己実現をなるべく邪魔しない」というスタンスが経営と両立できるなら、あるいは、そのようなイメージが広くマスコミを通じて流れるならば、そこには有為の人材が集まることになる。自己実現できる場がそこにあると感じれば、人間はものすごいパワーを発揮する。結果として、企業の業績も上がるはずである。
日本の経営者は、このことに気づいているだろうか。

(1999年1月作成 新「会社人間主義」ー私の考える「ホワイトカラー」より)


キリスト教徒になった今は、自己実現が最終段階とも思えなくなっている。自分の力でしたと思いこんでいる一つひとつの所作にも神の力が介在しているはずで、「自らの力」などと言うのは思い上がりにすぎない。神からもらった「賜物」で行わせてもらっているという方が正確である。
そして、自己実現より大切なものはイエス・キリストが身をもって実践した「他者への愛」である。この精神は仏教等の他の宗教にも共通するものだと思う。

(イラスト作成:漫画家「霧」(無断転載厳禁)
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