新「会社人間」主義ー企業倫理とビジネスマンの条件

「企業も社会の一員である」ということを常に認識し、公正で透明性の高い企業行動に徹することが重要である。これを明文化して社員に徹底している企業も多いと思う。が、実際に行動するのは個々の社員であり、まず、社員一人ひとりにその自覚があるかどうかが問題である。ビジネスマンに必要な条件は、「正しい倫理観に裏打ちされた知力を持ち、それを行動に移せること」である。現実には、倫理観の欠如した悪知恵や、考える前に汗だけを流す徒労が多いようにも見受けられる。

長期雇用が一般化している日本企業の中では、悪弊と思われるビジネス慣行があっても、これを是正しようと内部から言いだすのにかなりの勇気を要する場合がある。外部に対しては説明可能な理屈がなくても、内部の論理では通ってしまうことがないかどうか。そういう意味では、トップ自らが因習や悪弊を看過せずに決然たる姿勢で臨むことが何よりも大事である。社外役員や社外監査役など、第三者の立場からものを言える人を増やすことは一つの処方箋にはなりうるが、トップ自身の人格が何よりも重要であることは論を待たない。

他の識者の非難を受けるような下劣な行いを、決してしてはならない。
ブッダのことば「スッタ二パータ」慈しみより 中村元訳 岩波文庫

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・・・新「会社人間」主義―私の考える「ホワイトカラー」- 1999年1月

2017年の今になっても、当時書いた内容に全く修正の必要を感じないということは、倫理にまつわる事象は、残念ながら繰り返すということを示しているのかしれない。

注:上記の文章及び図表は全て筆者のオリジナルであり、筆者の事前了解なき無断転載を固く禁じます。