外資で働く(23)-個室

日本企業に勤めていた頃、同じ企業グループの人事課長クラスの知人が外資系企業に転じて個室をあてがわれたという話を聞いた。「外資系とはすごいところだな」と単純に感心したのを記憶している。

当時勤めていた日本企業は、業績悪化の影響もあり、年を追うごとに役員の個室が縮小され、専務執行役でも一坪程度の鳥かごのようなパーテーションで囲うだけになってしまった。部下からは姿は丸見え、声も丸聞こえで、秘密の打ち合わせなどできようもない。

大部屋勤めが必ずしも悪いとは言わないが、部下からすれば、「偉い」人がいつも隣にいて雑談の一つひとつまでチェックされていたら息が詰まって仕方あるまい。また、地位が上がるにつれて秘密の話も増えてくるから個室の方が打ち合せの効率は良いように思われるし、若手社員からすれば、自分も頑張ればいずれはあのようになれるかもという励みにもなる(そう思わない人もいるかもしれないが)。

筆者が日本企業の部長職を辞めて、外資系の人事総務法務本部長に転じた際にも、個室は与えられた。部下の数は日本企業にいたときの半分以下に減ったが、本部長というポジションタイトルと部屋を与えられて悪い気はしない。

個室の風景を参考に掲げる。
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ドアには手作りの行先明示版を掲示している(イラストレータの「霧」さんの作品である)。基本は、"Open Door Policy"であり、誰でも用事があれば自由に入っていただいてかまわない。
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12月生まれのやぎ座にちなんだイラストにしているが、このような遊びを許容してくれる会社の度量にも感謝している(伝統的な日本の大企業ではありえないことと思う)。

日本企業の中には、ステイタス・シンボルを廃止し、見た目を平等にすることで従業員のモラールを上げようとしている向きもあると思うが、行きすぎればモラールダウンになりかねないことにも留意した方が良いと思う。

(上記の文章、写真は全て筆者のオリジナルであり、事前の許諾なき無断転載を固く禁じます)