Next Step

6年前の今頃、前の会社に早期退職を申し出たときに以下のようなブログを書いた。

「・・・表面的には色々なことがあった30年間の会社生活だったが、どんな環境に置かれても"happy go lucky"と感じられる自分と、どこか醒めて自らを観察している自分がいた。

ニューヨークからの帰国の前日、暴風雨による欠航便を気にしながらホテルの部屋で大統領選挙の中継を見たこと・・・英国ウエールズカーディフ駅からホテルを目指して暗く寂しい夜道を歩いたこと・・・等、思い出されるのは苦労した仕事の場面ではなく、どうでもいいような海外でのひとコマばかりなのが不思議だ。
 
随分、ときを重ねてしまったが、自分の足で立って歩いてみることになった。
  
We must get going. Tomorrow, tomorrow...
さあ、それではでかけよう。明日は、明日こそは・・・・・・。
    
ヘンリー・ミラー 南回帰線(河野一郎訳)講談社学芸文庫より」

この6年間でも色々な経験をさせてもらったが、次のステップに移るタイミングが来たようだ。ささいなものも大きなものも含め、人と人とのコミュニケーションにかかわる解決すべき問題が、会社では頻繁に起きる・・・どこの会社でも似たようなことが起きているだろう。人と人が交わる組織である以上、すれ違いや摩擦を避けることはできない。原因は、コミュニケーションスキル、EQ、ケミストリー(Chemistry)など様々であるが、「自分ならこうするのになあ」と思っても、それを相手に伝え、そのように動いてもらうのは簡単ではない。人を変えるよりは自分が変わることの方が簡単だと頭では分かっているが、これもたやすくはない。

日々の人事的な課題に対し、私にいつも明確な答えがあるわけではない。ただ、話を聞き、共感し、自分の拙い経験から参考になりそうな話をすることはできる。これが人事屋の仕事の主要な部分を占めるものであり、おそらく、これからも、このような仕事を続け、喜ぶ者とともに喜び、悲しむ者と一緒に悲しむことになるのであろう。