外資系企業で働くー番外編その1

昨年11月に労働新聞社より上梓した拙著、「外資系企業で働くー人事から見た日本企業との違いと生き抜く知恵」がAmazonで見る限り、継続的に売れているようである。外資系に限らず、会社で働くことについて、人事的な視点で真面目に(?)書かれた本は意外に少ないので、多くの就活中の学生や、悩みながらサラリーマンを続けている人の目に触れることを切に願っている。
 
かくいう私も、奉職中の外資系企業の取締役を3月に退任することになり、次のキャリアステップに移る段階に入ったので、これからは、本には書けなかった生々しい話も少しずつ公にしていきたいと考えている。「真実(事実)を知らない限り、(人生の)対策は出てこない」からである。拙著では、外資系企業が活躍する医療機器業界を中心にその特徴と思われることを素描した。基本的スタンスとしては、外資系と伝統的日本企業のどちらが良いと思うかは、本人の好みによるということにしている。
 
だが、数多くの外資系企業で生き抜いてきたサラリーマン諸兄からすれば、「大した経験もしてないくせに偉そうなことを言うな!」と批判されることを承知で著者の本音を言えば、「外資系企業での勤務は、サラリーマンとして成長し生き抜く意味では良い経験になるが、長く働くところではない」ということになる。
 
理由については、次回のブログで披露するが、世界的ベストセラー「EQ 心の知能指数」の著者である Daniel Golemanが、今日のLinkedIn で、“Skillful leaders must be able to navigate the waters of conflict, recognize it, handle their own emotions about it, and help others move through the conflict."と書いているのを見たのが刺激になった。抄訳すれば、「熟練したリーダーは対立と矛盾の荒海を認識し、うまく航海できるよう誘導し、自身の感情との折り合いをつけ、人々がこの争いを乗り越えて歩んでいけるよう支援する」とでもなろうか。このような EQの高いリーダーが沢山いた方が良いに決まっているが、外資系にそのようなリーダーを確保・育成できる環境がどれだけあるのかということがポイントになる。