採用雑感(10)-キャリアの棚卸

応募者が採用面接用に準備する書式は、履歴書と職務経歴書のセットである。転職を考え始めた頃、職務経歴書の書き方が分からずにインターネットで検索したことを思いだす(無料で結構良いものが公開されていた)。

職務経歴書は、過去に経験した職務内容と実績を時系列に記載したもので、応募者の経験・スキルレベルと(これから何ができそうかという)能力を推し量る重要な情報であるが、筆者は、経歴書に書かれた内容を読んで文字通りに理解するよりも、応募者が過去のキャリアをどのように説明し、なるほど(だからこういうキャリアを歩んだのだな!)と思わせてくれるだろうかという「自分語り」に関心を持ち面接に臨んでいる。職業人生において、キャリアのすべてが成功というケースは稀であるから、失敗から何を学んでその後に活かしたのか、それをどのように表現して相手(面接官)に伝えるか、といった点もポイントになる。

大学時代は、簡単なことを難しく表現する手法ばかりを学ばされたように思うが、時間との闘いが勝負の企業社会で生き続けると長い文章を読む気にならなくなる。正直に言えば、A4版1枚が限界である。
職務経歴書にしても詳細なものは必要だが、一覧できるサマリーをつけてもらえるとありがたいと思う。転職活動をしていた頃、ベテランの人材紹介コンサルタントから「職務経歴書は3頁程度に収めること、長すぎると読んでもらえない。極力数字を入れた成果を記載し、自分に何ができるかを見ただけで分かってもらえるグラフや表等を入れて工夫すると良い。」というアドバイスをもらった。なるほどと思い、試しに、人事屋としての主な活動内容を表にしてみたのが、以下の例である(これを使って応募したことはないが)。


 【主な実績・経験】 ★は、制度設計・実行をリーダーとして完遂したもの。 ・はその他の活動


分野
採用
人事・
人員管理
人材育成
報酬・
処遇制度
労働時間管理
労使交渉
海外HR
その他
実績・
経験
700人採用(10年間で7000人面接)
 
・人事異動・組織改正
・昇格事務
・人員適正化
★若手エンジニア育成プログラム
★異文化研修
★管理職年俸制(1000人対象)
★一般社員賃金制度再構築(4000人対象)
★フレックスタイム導
・処遇制度
・経営対策
日立製作所グローバル人事プロジェクト
★海外会社MBO制度導入
★米国会社PMI
・海外子会社内部監査
・米系合弁会社HRプロジェクト
・福利厚生
・安全衛生
・内部統制
・内部監査
・総務・庶務
・子会社取締役会運営
(ここに記載した文章と図表は全て筆者のオリジナルであり、事前の承諾なき無断転載を固く禁じます。)