外資で働く(1)ー外資系企業とは?

100%外国資本の会社に転じて5年近くになるが、日本の会社とは、就労環境や文化がかなり違うと感じており、またそのことが興味深くもある。日本企業にしか勤めたことのない人にとっては未知の世界であると同時に、怖いもの見たさで覗いてみたい気もするところではなかろうか。

機密保持の観点から、現職のことを直接語るわけにはいかないが、外資系企業について色々と見聞したことを折にまかせて書いてみようと思う。

そもそも外資系企業の定義はどうなっているのだろうか。
経済産業省による外資系企業動向調査(2016)の対象企業は以下のとおりである。

1.外国投資家が株式又は持分の3分の1超を所有している企業
2.外国投資家が株式又は持分の3分の1超を所有している国内法人が出資する企業であって、外国投資家の直接出資比率及び間接出資比率の合計が、当該企業の株式又は持分の3分の1超となる企業
3.上記1、2いずれの場合も、外国側筆頭出資者の出資比率が10%以上である企業

要するに、出資比率10%以上の外国人株主がおり、株式全体の3分の1超を外国人投資家が所有する企業等ということになるようだ。この定義によればルノーが株式の4割強を保有する日産は外資系企業ということになる。

上記の経産省調査によると、調査に回答した外資系企業に勤める常時従業者数は62.4万人であり、回答率が6割であることから実際の総数は凡そ100万人程度と推測される。日本の平均就業者数は6640万人(平成28年労働力調査総務省統計局)であるから、全体に占める割合は1.5%程度に過ぎないと思われる。

この1.5%の世界で起きていることは、日本の伝統的な大企業の、新卒採用・長期雇用を前提とした雇用慣行とはかなり違う。意欲と向上心のある人にはやりがいのある世界であるが、順送り人事と同期との競争だけに慣れ切ったベテラン社員にとっては、頭の切り替えができないとしんどい世界でもある。


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