新「会社人間主義」-貢献と報酬の長期収支勘定(その1)

報酬とは、会社の成果をどうやって従業員に配分するかという問題である。数人で興した会社であれば、お互いが納得できるなら、人数割にしようが2:1:1などの比率で決めようが問題はない。お互い顔が知れた範囲で力量も分かるから、納得ずくで配分することはそう難しくはないだろう。仮に不満を持つ者が出たとしても、自分達で会社をつくるくらいの人物であれば、嫌ならドロップアウトして別の会社を作り自分が社長になるという選択肢もある。

大会社の場合には、配分にもっともらしい理屈を付けなければ従業員が納得せずモラールダウンを招くから、何らかの説明できる理屈を作らねばならないが、どの程度の精緻な仕組みを作るかが問題である。会社の目的は事業を発展させ、儲けることにあり、従業員を評価すること自体は目的ではない。皆が納得して頑張ってくれる制度が理想であるが、これがなかなか難しい。


日本の年齢別賃金カーブを米、独、仏、英等と比べると、賃金の累進度が著しく高くなっている(いわゆる年功賃金カーブ)。注意すべきは、欧米各国の賃金は職務給だから年齢に関係なく一定というわけではなく、ある程度までは年齢とともに高くなっていく傾向があるということである。もっとも、日本では50代前半まで上昇し続けるのに対して、欧米では40代に入ると頭打ちになっている点が大きく違う。賃金は労働の対価であるという原点に立って考えれば、日本のホワイトカラーの生産性は50代まで急カーブで上昇し続け、どんなに頑張っても20代や30代の若造が追いつけないレベルの仕事をしていなければ辻褄が合わないが、現実はそうでもない・・・次回ブログに続く。

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(新「会社人間」主義ー私の考える「ホワイトカラー」 1999年1月 より)

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