AIと仕事

2014年、オックスフォード大学准教授のマイケル・A・オズボーンとカール・ベネディクト・フライが発表した論文『雇用の未来』は、世界的な議論を巻き起こした。AI人工知能)の進歩に伴い、スーパーなどのレジ係やレストランの案内係、ホテルの受付、スポーツの審判、銀行の融資担当者など、身近な仕事がこの先なくなる可能性があることが示されていたからだ。最近では、将棋や囲碁の第一人者がAIに負けるまでになった。今後益々、AIに取って替わられる職種が増えていくだろうと言われている。


「会社」というものの存在意義や形も、AIの進展と共に大きく変わっていくだろうと思う。

 
「良い組織」や「最高の業績を上げる会社」についての書物が巷に溢れているが、理想の会社などというものはないと思う。「他人の時間を長期にわたって拘束し、会社の目的のために働かせる」という形は、産業革命以後の欧米で200年あまり、日本では150年の歴史しかない。人類の歴史の中ではごく短いこの特殊な期間に作られた特殊な形―生計費を得る為に、家族と過ごす時間を奪うシステムーが未来永劫、今のままで続くとも思えない。
不自然な形だからだ。人生を終える瞬間に、家族のことではなく仕事や会社のことを思い出す人間がどれだけいるだろうか。家族や愛する人達の絆より上回る価値を持つ組織を作ることなど不可能だ。
 
ゆえに、AIIT機器の普及に伴い、皆が一ヶ所に集まって仕事をする形は徐々に崩れていくと推測する。
個人の自主性やゆとりにもっと配慮し、愛する者たちとの時間を大事にできる形・・・それは大企業よりもむしろ、零細企業や(農業を含む)家内労働になっていくだろう。昔は沢山あった形であるから徐々に先祖返りしていくものと思う。