日本人の目指すべきビジネス英語について

初めて外資系企業に勤めたときに驚いたのは、ここでも、日本人の英語の水準は高くないということだった。英語ができるつもりで英文レジュメを送ってくる候補者のそれも、基本的な冠詞の使い方を間違っていたり、残念なものが多かった。
ふと、何年も前に、イタリア人のジョヴァンナと社内英語研修に奮闘したことを思い出した。 週1回、3ヶ月のレッスンで受講者の平均TOEICのスコアが130点も上がったのである。

あの頃に2人で作った教材が、今でも、英語に苦労する多くの日本人ビジネスパーソンに通用することを確信し、近々、公に披露する計画を立てている。

 

日々、多くの外国人の英語を読んだり聞いたりしていると、彼らの英語のレベルもそれほどではないことに気づく(英語を母国語とする、英米人、オーストラリア人、ニュージーランド人等を除く)。 一般化することの弊害を承知で言えば、概してフランス人の英語は母国語の影響が強すぎて流ちょうとは言い難いケースが多い。スペイン人の英語の発音にもかなりの癖がある。概してドイツ人やスウェーデン人の発音は良いが、やはり英米人が話すものとは抑揚が違う。インド人の英語は弾丸のようで迫力はあるが、その独特の発音は聞き取りにくい。シンガポール人の英語は聞きづらい。日本人の英語にはあまり癖がなく、平板に聞こえるから、相手にとっては意外に聞き取りやすいようにも思われる。要するに、世界中で英語を外国語として使用する膨大な数のビジネスパーソンが色々な英語を話している現実を見た場合、学校で習ったように「RとL」の発音に細心の注意を払わなければ英語は通じないという先入観から日本人もそろそろ解放されてよいと思うのである。筆者の観察では、英語を介してコミュニケーションを取る外国人同士は、色々な英語(の発音)があることを前提に、相手の言っていることを理解しようと努めているように思われる。

 

だから、会話については、文法の基礎さえ押さえておけば、自信を持ってどんどん話せば良いのである。発音がどんなに悪かろうが、自信と勢いを持って話している人の英語は伝わるものである。

 

もう一つ忘れてならないのは、グローバルビジネスの日常の現場では、電話等による会話よりも、メールによるコミュニケーションの方が圧倒的に多いということである。だから、ライティングとリーディングの能力はとても重要であり、その点で日本における英語の学校教育の意義は依然として大きいと筆者は考える。文法に自信がない人は学校で学んだ内容を復習すべきである。どんなに、立派な内容を書いたつもりでも、文法的におかしかったり、スペルミスを繰り返すようでは、書いた中身自体の信頼性も疑われてしまうー日本人が外国人の書いた日本語を読むときに感じる疑念と同様である。

 

まとめると、以下の2点に注意すれば、日本人がビジネス英語を使って生きていくことはできると考える:

 1)英米人と同じような流ちょうな英語を話すことを目標にするのではなく、「言いたいことが伝わる英語」を話す工夫をする。そのためには、発音以上に、勢いや(私の英語を聞き取れない方が悪いと思うくらいの)度胸がものを言う。

2)昔、学校で習った内容を復習し、文法とスペルの正しい英語を書く努力をする。

  

これらを意識しながら英語を使い続け、ビジネスで闘いができるレベルにまで持っていければしめたものである。あなたは、どこの外資系企業でも、日本のグローバル企業でも通用することになる。