英語力向上の近道ーモチベーションの持ち方次第

外資系企業で採用面接を6年間行ったが、英語に関して言えば、応募者は完全に二手に分かれる・・・ほとんど勉強してこなかった人と、それなりに努力して向上させて来た人にである。だが、英語力がどの程度のレベルかを別にして、外国人とのコミュニケーションを楽しんできた人がどれほどいるのかと問われれば、よくわからないというのが正直なところである。

「英語」は「日本語」同様に、コミュニ―ケーションのツールである。日本語は世界中の言語の中でも稀な、(ほとんどの表現を自国語でできるという)言語としての完結性と奥深さがあるが、残念ながら、世界で使っている人は少ない。
他方、英語は、フランス語やドイツ語等に比べると文法的にも平易であり、世界の多くの人が使うという利点がある。

だから、英語を学びたいと思うかどうかは、(文献で外国の知識を吸収する目的の人を除けば)、世界の人々とコミュニケーションをしたいというモチベーションにかかっている。言い換えれば、英語を「勉強」するスタンスで英会話学校などに行っても、外国人とのコミュニケーションを楽しむ気持ちがなければなかなか上達しない。「恥をかきたくないと」と思って、義務感でやっていることで上達するものは少ない。

「義務感」でやっている限り、社命で米国や英国駐在を2~3年間しても、大して英語はうまくならない。実例を知っているが、勤務時間中もアフターファイブも日本人出向者同士で日本語でコミュニケーションをしているからうまくなるはずもない。

筆者は、学校を卒業して以降、英語を「勉強」したことはないが、新入社員時代に週2回、定時後に開かれた英会話教室に派遣されてきたイギリス人の女性講師の魅力に惹かれて、会話に夢中になった。それまで英語を母国語とする人と本格的に話したことはなかったので、意思の疎通ができることが嬉しく、「次は、どんなことを言えば、先生を喜ばせる(笑わせる)ことができるだろうか?」と考え、ラジオ英会話のテキストなどからフレーズを借用して、英会話教室の中で披露したものだ。新入社員中心の10人程度のクラスだったが、そのうち、仕事を理由に欠席する者が増え、先生一人、生徒一人の授業のときもあった。筆者にはむしろ千載一遇のチャンスに思え、思う存分話したいことを話した。

振り返れば、この時期ほど英会話力が向上したことはない。べたな言い方になるが、ブロンド美人で話も面白い彼女に気にいられようとのモチベーションが最高のガソリンになったことは間違いない。

モチベーションが異性間の気持ちなどにあるとしても、それで英語力が向上するなら良いのではないかと思っている(犯罪に至るようなストーカー行為などに発展しない限りであるが)。

要するに、英語を使う外国人と知人・友人になることが英語力向上の近道である。

英語というツールを通じて、彼らの人柄や、趣味趣向、人生観なども垣間見えるようになり、国籍や肌の色などとは関係なく、人としてリスペクト(尊敬)しあう関係になれれば最高である(学校のテストと違い、そういう関係になれたかどうかの基準はないが、会話等を通してそう感じられるかが唯一の判断材料となる)。