笑顔でいることの価値

中規模外資系企業に職を得て6年が経った。日本の伝統的な大企業とは違うカルチャーの中で新鮮な経験をさせてもらったが、概して、常識的で良い人が多かったことに感謝している。挨拶がきちんとできる人ばかりであった。

ただ、ごくまれにではあるが、笑顔が少ない(あるいはほとんどない)人もいた。

残念なことに私の部下にもそのような人がいた。経験年数が長いので仕事はできたが、ただ黙々と自分のやるべきことをするだけで、雑談はしないし、部下の気を遣うそぶりも見せないから、職場はいつも張りつめていたし、部下の定着も悪かった。
結局、最後には彼に辞めてもらうことになり、新たなマネージャーを外から招いた。
今度の人は、仕事はもちろんできるが、部下のケアがきちんとできる人で、かつ、笑顔が良い・・・もちろん、毎日楽しいことだけがあろうはずもないが、とにかく笑顔で接してくれるから周りは明るくなる。
社会人に必要な条件の第一に来るのは、仕事ができることだが、それと同じく重要なのが、笑顔でいることである、と確信するようになった。私は、今の職場を来春早々に去ることになったが、彼がいるなら安心である。

もう一人優秀だが残念な部長も見た。
彼女は入社して数か月間に、前任者のやり残した課題を期限通りに見事に完遂し、仕事師としての面目を躍如たるものにした。だが、入社したばかりの部下に早々に辞められてしまった。部下の人と何度か茶飲み話をしながら本音を聞いてみたが、要するにハードすぎてついていけない、相性(Chemistry)が合わない・・・ということだった。そうだろうと思った。いつも必死の形相で目が血走っている、笑顔がない、作り笑顔をしても目が笑っていない・・・私もこのような人とは一緒に仕事をしたくないと感じた。
 
通勤電車に乗ったり、街を歩く中で、日々、何人もの人とすれ違うが、中には、ちらと目を合わせただけで、暗い気持ちにさせる表情の人がおり、この暗黒ビームを浴びた瞬間に落ち込んでしまう(なんて自分の心は弱いのだろうと思う)。
 
さて、私自身の表情は人々にどのような印象を与えているのだろうか?
とりわけ、身近な家族に対しては?
恐らく、失格だろうと悟り、師走を迎えることになった。
 
来年こそは明るい笑顔で接しようと誓う。
 
 
 
心に喜びがあれば顔色を良くする。 箴言 15:13
 
悩む者には毎日が不吉の日であるが、
心に楽しみのある人には毎日が宴会である。 箴言 15:15