英語力向上の秘訣ー度胸と積極性

どんなことをするにも、多少の度胸と積極性が必要だ。

母国語以外の言語でコミュニケーションするのは、ハンディキャップマッチに参加するようなものだから、自分の居場所(Identityと言っても良い)は自分で確保する心構えが肝心で、多少の度胸と積極性が要求される。

サラリーマンになって半年後の夜、英国人の英会話の先生の招待で、外国人だけのパーティーに参加したことがある。といっても、2部屋ほどのアパートに20人ほどが集まり、スナック菓子と缶ビールなどをいただきながら、数人ずつ固まって話しこむだけである。日本の宴会のように、予め自分の席が確保されていて、型通りの乾杯をして、そのうち順番に一言ずつ挨拶をするというような形はなく、始まりの時間も終わりの時間もない。各々が勝手にやってきては、いなくなる。自分の居場所は自分で確保するほかはない。

事前に先生から、「悪いけれど、今夜はあなただけの相手をしているわけにはいかないから、自分でどんどん話の輪に入っていってね。」と言われた。人気者の彼女は忙しい。

米国、英国、オーストラリア、ニュージーランドエチオピア、香港、韓国などの国々から来た人で溢れ、日本の地方都市の12畳の和室で行われているとは思えぬ国際色豊かな雰囲気であった。狭いバルコニーで踊りながらキスを交わすカップルがいれば、大の字になって寝転んでいる女性もいる。

この中で、ネイティブの早口の英語についていくのは容易でなく、ほどなくして「壁のしみ」状態になってしまった。

何か目立つことをしないとしみ状態は解消しないと悟り、とっさに思いついたのは、壁に向かって逆立ちをすることだった。そうすると皆が筆者の方を振り向いて写真を撮ったり、お腹をくすぐる者まで出てきた。

若いからできたバカげた行動だったかもしれないが、これでようやく彼らの仲間の一人になり、アイデンティティを確立できたようである。このときを境に、外国人と付き合うときには、自分のアイデンティティは何かを意識しながら行動するようになったと思っている。