メンバーシップ型雇用システムのPros&Cons(制度・運用とマインドセット)

メンバーシップ型(日本型)雇用システムの制度・運用面の特徴の多くは、パフォーマンスと報酬(Pay)の関係を長期間で決済しようとするところから来ている。自らの育成をじっくり考える社員にとっては、安定した処遇のゆえに達成の難しそうな課題にも果敢にチャレンジングする気になれるプラス面があるものの、内部登用が基本で、外部採用を穴埋めの位置づけにすることが多様性(Diversity)の阻害要因になり、若くて成長意欲のある社員の転職理由にもなる。過度の安定は、成長ストップと表裏一体の関係となる。

 

 銀行の支店に配属されて間もない頃、不慣れな札勘をやっているときに、若手の女性社員が中年の男性社員に「何をしているときが一番幸せ?」と聞いているのが耳に入ってきた。答えは、「家に帰って週刊誌を読んでいるときさぁ・・・」。認識の甘さゆえに、最初の就職先を3ヶ月で辞めた筆者に語る資格はないかもしれないが、この牧歌的なまったり感を外資系で経験したことはない。雇用保障にかかわる緊張感が日本企業とはまるで違うのである。

 

メンバーシップ型とジョブ型には、人事制度・運用面で対照的な違いがある(以下の拙稿の表を参照)。ジョブ型が基本の外資系企業は、中途入社が当たり前で、評価に年齢や勤続年数は関係ない。入社して成果を挙げればすぐに昇進や昇給が行われる一方で、半年経っても一人前にならなかったら退出勧告を受けかねない。どのような環境で働くかでマインドセットが変わってくることを体感した外資系勤務経験であった。

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経団連タイムズ寄稿「日本型雇用システムの将来展望(第3回)」
https://suzukit-syaroshi.jimdofree.com/2020/04/26/%E7%B5%8C%E5%9B%A3%E9%80%A3%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E5%AF%84%E7%A8%BF-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9E%8B%E9%9B%87%E7%94%A8%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%E3%81%AE%E5%B0%86%E6%9D%A5%E5%B1%95%E6%9C%9B-%EF%BC%93/


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