Trust Me!

30数年間のサラリーマン生活を通じて上司から聞いた言葉のうちで、一番印象に残っているものと言えば、文句なく、" Trust me! "である。
感動したからではなく、その後の失望の大きさが想定をはるかに超えたからである。

当時、経営は大きなチャレンジに直面していたが、その主な原因は、「人」にあるというのが筆者の見立てであり、件のドットラインの外国人上司も、来日時に実態を垣間見て、私と2人だけのDialogueの中で、「俺を信用しろ!(必ず何とかする)」と言い放ったのである。そこで、人事責任者の立場で、メール他の手段によりConfidentialな情報と意見の交換を続けたが、そのうち、何かがおかしいと感じるようになった。

比較的軽いトピックをメールすると、わずか数分で" Great thanks. ●●●-san!  Best Regards"と返ってくるのに、核心のテーマになると、何日待っても返信が来ないのである。

結局、1年経っても事態は改善せず、筆者と彼との間の仕事上の関係も終わることとなった。

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筆者にとって家内はなかなか良いコーチである。
家に帰ってから、仕事や人間関係の愚痴をこぼすと、「パパは人のこと言えないでしょ!自分の言ったことをすぐに忘れるのだから」。正におっしゃる通りで、筆者は無言になりしばし反省する。

 

しかし、他人の言行不一致を受け流すことは、やはりできない。
どんな状況にあっても約束を守れる人間になるという目標を、自分に課しつつ、人にもそれを求めるのはこれからも変わらない。それが信頼関係の基本だからである。

「人望が厚くなければ、長期にわたって成功することはできない。「言行一致、約束履行」が必要なのである。」 
The Politics Of Diplomacy, James A Baker (Former Secretary of States)