隠れている力に気づくこと

18年前(1999年)、日本企業の人事担当として働いていたときに、「新会社人間主義―私の考えるホワイトカラー」というエッセイを書き、冊子にまとめて知人・友人に送ったことがある。日経連にも送ったら幹部の方に褒めていただき図書室に何冊か置かせていただいた。当時書いたもので今でも自分の考えが変わらないものについて、このブログで随時公開することにした。その第一回目:

「価値あるものを失いたくないという気持ちが、意欲に火を注ぐのだ。そのものの価値を高めれば高めるほど、その価値あるものを求める意欲が強くなる。価値観を形作っていくのは人生観なのだ。価値あるものが脅かされたとき、これまでは持っていることにすら気づいていなかった力を発見する。自分の命、愛する人の命がかかっているとなれば、どれほどのことができるかは、驚くばかりだ。・・・・・自覚していようがいまいが、また実際に行動しようがしまいが、自分の運命を実行していくのは自分自身だ。
    マイク・メンツァー マッスル&フィットネス 1996年5月号より

激動の時代、第二の敗戦などと色々言われている。しかし、幸いにも現代は血を流したり、特定の思想を強制されたりしなくても生きていける時代である。
大切なことは、自分の力に気づくことであり、これさえ押さえておけば、表面上のシステムがどう変わろうと大した問題ではない。

クリストファー・ロビンクマのプーさんに、「君たちは、思っているよりずうっと頭が良くて、力があって、勇気があるんだよ。」と語っていた。

息子は、昆虫、とりわけカマキリが好きである。皆で山へ行ってカマキリ一匹とバッタを十匹ほど捕まえてきて飼ったことがある。バッタはどれもカマキリの3分の1くらいの大きさしかないので餌のつもりだった。ある夕、捕まって食われていく同士をじっと見つめているバッタがいた。翌朝、カマキリは腹を食いちぎられて死んでいた。どうやらバッタ群の復讐にあたようである。世の中には、時として信じられないパワーを発揮する例があるものだと家族で驚きあった。

我々は、人間である。

クリストファー・ロビンの言葉を、私と、家族と、この本を最後まで読んでくれた人達に贈りたい。
(1999年1月作成)

(イラスト作成:漫画家「霧」 無断転載厳禁)
イメージ 1