外資で働く(12):Report ToとDirect Report"

外資系企業で生き抜くには、直属上司(Report to=報告先)と直属の部下(Direct Report)をきちんと認識し行動することが重要な要素となる。

”Report to”の対象たる上司から業務指示を受け、報告する義務を負う。”Direct Report”る部下との関係も同様であり、直接指示を出し、報告をもらう。何人の直属部下を持つかということが仕事の責任の重さをはかる目安にもなる。


日本の大企業で長く勤務していると、承認を要する業務案件について、他部門の関係者に事前に「根回し」をしたり、上司を飛び越え斜め上の幹部と繋がったりするのはよくあることだが、外資ではこのような行動にはリスクが伴う。人事評価やボーナス(Short Term Incentive)査定、(日本での発動は稀な)解雇権を始めとして、直属上司が持つ権限は大きく、命令系統を逸脱したととられると円滑に業務を進めていくことは難しい。
軍隊のようで窮屈に思えるかもしれないが、命令系統の原則を肝に銘じた上で日々の行動を律していけば、これはこれで効率的でもある。「根回し」的なものがなければ物事はうまくいかないのは洋の東西を問わない真理であるが、上司をないがしろにしたととられるような行動は慎むべきである。


因みに、外資系企業ではマトリックス組織が一般的であり、複数の上司を持つことになる。日本法人の人事責任者の例で言えば、日本法人の社長と、APAC(またはグローバル)人事部門の責任者が上司になる。第一にReportすべきは、組織図における「実線上」の上司となり、第二にReportするのが「点線上(dot line)」の上司となる。


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組織図上では実線と点線の違いでしかないが、誰が直属上司かを明示する点で、本人にとっても関係者にとっても大きな意味がある。

(ここに記載した文章と図表はすべて筆者のオリジナルであり、事前の承諾なき無断転載を固く禁じます。)