ドラマクイーン

外資系企業に転職して間もない頃、人材紹介コンサルタントの女性から「ドラマクイーン」なるものの存在を聞かされた。

"Drama Queen"とは、「ドラマのヒロインのように芝居がかった行動を取る人、物事に対してオーバーリアクションを取る人、些細な 事柄をさも大事のように誇張して語る人」のことを指すスラングである。

 

日本の伝統的な大企業にも、稀にドラマキングのような人はいたが、「あの人は仕方ない」と周囲が諦めて、注意して接していれば大体ことは済んだ。大きな組織では衆人の目があり、あまりに変な言動を続けていれば、噂はトップに伝わり、それなりの人事的措置が発動されて管理職・経営職からは淘汰されていくからだ。

 

中小規模がメインの外資系企業となるとそうはいかない。人材自体が少ないことから、多少行動に問題があっても仕事ができれば我慢して使う例が少なくない。採用面接をしていると、Drama QueenDrama Kingがトップを務める部門から、人材が社外流出し部門崩壊の危機に至る話をよく聞く。

 

しかし、どんなに仕事ができても、「ヒトとしてなっていない」人を組織のトップに置いておくことは問題である。部下全員が彼・彼女から悪い影響を受け、職場の士気は下がり業務の効率も下がる。上司のいるところでは本音の話や冗談も言えない暗い雰囲気になってしまっては組織と事業の成長は望めない。グローバル本社が、ローカルのこういった現象をよく観察し、取り返しがつかない状態になる前に是正措置を採ることが、企業のガバナンスとしても必要である。

 

Drama Queen(King)は、これまでの生い立ちや過去の体験の影響から、常に過剰な注目を浴びないと落ち着かない精神状態になっていると思われ、社外の専門家によるカウンセリングやコーチングを受けて状態を改善することが必要である。能力以上に背伸びをし、虚勢を張って人生を送っている可能性があり、このような状態の人を組織のトップに置き続けることは、本人にとっても会社にとっても良くないことである。

 

Drama Queenの他にも組織人として問題あるタイプには、以下のものがある。

 

Negative(they always see the downside):あらゆることを否定的な側面から見てしまう。部下がどんなに良い提案をしても粗探しをするだけで、褒めることはない。

 

NarcissistGiant Egos):「自分が一番」という自意識でこり固まっている。背後には、もろく壊れやすい自信の裏返しの劣等感が潜んでおり、少しでも自分がぞんざいに扱われたと感じると逆切れする。

 

Blamers and Finger-Pointers:手に余る課題にぶち当たると、他人を叱り飛ばし、衆目の前で吊し上げることでことを収めようとする人。本人は感情エネルギーを発散することで一時的なカタルシスを得るだろうが、周囲の人間には、不愉快な気分に耐えることに神経を集中するためだけの時間の浪費となる。

 

こういう人々の存在に気づいたら、一刻も早く、カウンセリングやコーチン

を受けてもらうよう人事部門やトップに提言するのが肝要である(彼らが聞く

耳を持っていることが前提になるが)。