外資で働く(13)-日本企業との人材の違い

人間は、生来の資質と環境の組み合せで成長していく。
外資系に勤める人材と日本の伝統的大企業に勤める人材の質やレベルに根本的な違いはないが、働く環境が異なることから、Mindset(心構え)がかなり違ってきている。
筆者の私見で違いを整理すると以下の表のようになる。

外資系企業人材日本企業人材
こらえ性がない・不満なら転職(就社意識なし)就職より    就社意識・自分のキャリアを作れるかどうかを常に意識していないと、会社の意向(人事異動・転勤)に流されやすい。
・転職理由:「やりきった感」等
キャリアの棚卸・自分の市場価値は意識している。いつもCVを用意している。 キャリアの棚卸をしない・キャリアの棚卸をしない。自分の市場価値を考えたことがない。CVを書かない。
 ・過去のキャリアを振り返らない、今後のことも考えない。
処遇条件に敏感・自分の人材価値を過大評価しがち                            環境の変化に備えない・会社に定年までいられると思っている。
 ・過剰にDemandingなことあり・会社が売却されたり、会社からいらないと言われたら途方に暮れる。
成果重視・うわべだけのパフォーマンスにこだわる嫌いもあり                   例:KPI(顧客面会数)、            会議での発言回数仲間意識・横並び意識・同期の絆、所属組織での仲間意識(チームワーク)は強い

外資系に勤める人材の多くは、常に自分のキャリアを意識しており、会社に不満を持てば転職することを厭わないが、日本の伝統的大企業に勤める人材は、なんだかんだと言いつつも結局は定年まで勤めあげて社内で偉くなることを目標にしている。
意識が内向きになるから、社外の労働市場に目を向けることは少ない。Curriculum Vitaeや職務経歴書を書いたこともなく、会社の業績が落ち込んでリストラの話が出るに及んで慌てることになる。

一方、外資系で転職を繰り返す人材は自分の処遇に敏感である。過剰にDemandingな人もおり、少しでも処遇に不満があると転職する。日本人の美徳とされているチームワーク意識が希薄な人もいる。

双方の中間くらいがちょうど良いのではないかと筆者は感じている。

(上記の文章と図表は、すべて筆者のオリジナルであり、事前の承諾なき無断転載を固く禁じます)