採用雑感(2)-私の就職活動(2)

最初の就職先である都市銀行を3ヶ月で辞め、国家公務員試験を受けたが落ちた。試験日が迫っている頃に衝動的に退職したのだから当然である。やむをえず、自分には向いていないと思われるサラリーマンに再びなるため、企業回りを始めた。モラトリアム人間ではあったが、親にこれ以上迷惑をかけるわけにはいかないという気持ちだけはかろうじてあった。

銀行を辞めて別の銀行という理由もないので、繊維とか電線といった地味な素材メーカーを中心に回った。就職できる確率が高いと思ったからであり、同じ理由から、当時は就職先としてマイナー扱いだった外資系もいくつか回った。が、英語はできないし、そういう柄でもないと悟り、日系メーカーに絞って活動を続けた。

就職した後も片手間に司法試験の勉強をして受かったら法曹界に行こうなどという甘い考えを持ちながら、企業訪問を続けたところ、人事部長が大学の先輩で、最初の就職先であるN証券を半年で辞めたという経歴の持ち主に気にいってもらい、以降30年余り勤めることとなった。

実のところ、内定をもらってから入社するまでの間も「俺が本当にサラリーマンをやるのか?」と悩み、断りかけたこともあったが、入社を赦していただいた。今から思えば、運が良かったとしか言いようがないし、本当に多くの方々にお世話になったと思う。また、両親にはことのほか心配をさせてしまい申し訳なかったと思う。