採用雑感(7)-EQ

採用面接のプロセスは会社によって異なるが、営業・技術・財務等募集Positionの部門のマネージャーの面接と、人事マネージャーの面接は欠かせないステップになると思われる。部門責任者の面接では、募集ポジションのJob Description(職務記述書)に見合う経験とスキルを有しているかを中心に、同じチームメンバーとしてうまくやっていけるかという人柄や相性(Chemistry)も当然見ている。

では、人事としては何を見ているのか?

応募者から面接の際に、「御社で採りたい人材はどのような人ですか?」という質問を受けることがあるが、「当社の人材は、〇〇であってほしい」と明確に定めたものは、会社の"Value"になる。現在在職している会社を例にとれば、Passion(情熱), Openness(率直さ), Ownership(当事者意識), Collaboration(チームワーク), Excellence(最善)の5つになる。この5つを完璧に備えている人に出会えれば申し分ないが、自分を含めそのような人は滅多にいない。

とすれば、もう少しシンプルな基準で判定をせざるを得ない。あえて一つを選ぶとすればEQであろう。EQは、感情の知性・こころの知能指数とも言われているもので、アメリカのピーター・サロベイ博士とジョン・メイヤー博士によって提唱され、科学ジャーナリストのピーター・ゴールマンによって広められたものである。
「この人ならば信頼できる」「一緒に仕事がしたい」と思わせる人間的な魅力のことを指し、「IQの高い上司の命令だけでは人は動かず、ビジネスで成功する人は対人関係にも優れている」ということを理論化したわけだが、昭和時代に日本で青少年時代を過ごした世代なら、「徳」「人徳」のことを想起するかもしれない。

人の話をよく聴き、その気持ちを読み取って共感し、感情の調整を含め自らの行動に移していく・・・私自身には苦手な部分であるが、社会で起きるほとんど全てのストレスの原因は人間関係にあることを思えば、組織で働く者にとっては(一人親方で仕事をする人を除き)最も大切な要素であることは間違いない。

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