外資で働く(27)-会議での発言

会議とは、あるテーマについて議論を交わし結論に導くための場である。十人以上の規模になると、一方的な伝達の形にならざるを得ないこともあるが、原則は議論するための時間である。人の話を一方的に聞くだけなら、内容を社内イントラに載せたり、メールで配信してもらえばこと足りるし、その方が時間の節約にもなる。

日本の大企業では、この原則が忘れられた「御前会議」が多いのではなかろうか。社長や、〇〇本部長のメッセージを、参加者全員が拝聴する・・・お話が終われば会議は終了、というパターンである。

外資系の場合は、違う。CEOによるタウンホールミーティングの場合でも、プレゼンの後には必ずQ&Aの時間が設けられ、誰でも質問をする機会が保証されているし、事実、ヒラ社員も遠慮なく質問する。オフィシャルなコミュニケーションの場では、参加者が発言できる機会を保証するという鉄則が外資系では守られている。上下の差は関係ない。

会議の場で発言しない人は評価されない。
管理職で、いつも発言しないようだと会社から退出勧告されることだってある。
グローバル規模のプロジェクトのコーディネーターとして参加した外国人幹部の例を挙げる。周りで熱い議論をたたかわせている会議の中、彼は黙って様子を見ているだけだった。まるで弁当を食べるためだけに飛行機に乗って日本に来ている感じだった。何回目かのプロジェクト会議が終わり帰国した翌日、現地で上司に呼びだされた彼はその場でクビになった。数日後、彼からプロジェクトメンバー全員に「グッバイメール」が送られてきた。「一緒に参加できて楽しかった」とはあったが、本当の理由はもちろん書いていない。読み手が、文章のトーンから察するのである(外資では文面から、起きた出来事を察するスキルが必要である)。
彼の役割は即座に別の幹部に引き継がれ、何事もなかったかのようにプロジェクトは粛々と進行した。

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