業務委託という働き方

2021年4月より施行予定の改正高年齢者雇用安定法により、事業主には従業員に対し70歳までの就業機会の確保をする努力義務が課されることとなった。ここで目を惹くのは、「雇用」の他に「業務委託」という選択肢が用意されていることである。

会社から見て「業務委託」のメリットは、人件費を変動費化できることである。日本の労働法制・慣行では、一方的に「雇用」契約を解消することは難しいが、業務委託なら、必要なときに必要な仕事を頼むだけで済む。労働時間管理や社会保険適用が不要になることで管理コストを下げることもできる。

 従業員にとっては、「雇用」と「業務委託」それぞれにメリットとデメリットがある。

「雇用」のメリットは、何といっても安定的に給与がもらえることであろう。多少仕事の出来が悪くても極端に給与を下げられることは少ないからだ。コロナ禍であっても決められた時間に決められた場所に行かなければならず、会社や上司の指揮命令に従わなければならないという拘束感をデメリットと感じる人は多いだろう。

 「業務委託」のメリットは、働く場所や時間を自由に決められる点であろう。報酬や労働負荷に関する法的保護がほとんどなく、仕事の出来栄えや出来高に不満を持たれれば契約解消されるリスクが高いことはデメリットと言えよう。だが、良い仕事をして評判を上げれば稼げるチャンスが増えると考えれば、メリットにもなる。

大組織に守られ、毎月決まった給与をもらえる安心感の魅力を否定はしないし、どういう働き方を選択するかは個人の自由である。だが、経験やスキルを評価してくれないと感じる場所で悶々と日々を過ごすくらいなら、フリーランス(や起業)の世界に挑戦してみるのもひとつの手である。

 

人生百年時代、折り返し地点を少し過ぎたところで誇りや意欲を失って日々を流すのはもったいない。