採用雑感(11)-GRIT(やり抜く力)

GRIT The Power of Passion and Perseverance,やり抜く力(Angela Duckworth著)」という本が売れている。

成功するために大切なのは、優れた資質よりも「情熱」と「粘り強さ」すなわち「グリット(GRIT)=「やり抜く力」だという。IQ(知能指数)のような数字が、進学や就職において日本以上に重視されてきたアメリカ社会に、著者の論文が一石を投じ、幅広く支持されたようだ。

この本では、応募者の学生時代の課外活動の状況をヒアリングするために、「活動の「継続」と「達成」を知るグリット・グリッド」という調査票が紹介されている。著者によれば、この調査を通じて、学校の授業以外に、スポーツ・課外活動・ボランティア活動・調査・学術的活動・アルバイト・趣味等の活動を継続的に行い、かつ顕著な成果を挙げた者は「やり抜く力」が強いことがわかったという。


日本人からすれば当たり前のことを言っているだけのような気もするが、在職する会社では、採用面接に早速この視点を取り入れることとし、応募者にヒアリングをしている。実際にヒアリングをしてみると、学生時代に部活等の課外活動をやり遂げた者には、会社に入ってからも簡単にへこたれずに成果を挙げてくれそうな印象はある。
しかし、実際のところは、入社してしばらく仕事をしてもらわなければ検証はできない。どのような組織に属することになっても、まずは、辛抱して留まれるかどうかが最初のハードルではないだろうか。

私自身の中学から大学時代の課外活動を棚卸しすると以下のとおりになる。

中学1年~3年:英語部(週1回の楽な部活)。唯一の思い出は、区民会館で行った英語劇ー「白雪姫」に小人役で出たこと(台詞は、"Hush!(静かに)"の一言だけだったと記憶している)。
高校1年:ハンドボール部。数学で20点を取ったショックから衝動的に運動部に入部したものの、1年で退部した。
高校2年~3年:帰宅部(予備校に通いながら、漫然と受験勉強をしていた)。
大学1年:少林寺拳法部入部。今度こそ男になろうと武道を始めたが、厳しい訓練についていけず、退部。
大学2年~4年:音楽サークル(5人編成のバンドを結成しベースを担当、学園祭等に出る)

続いたものが少なく
、上記の調査票で評価すれば最低の結果になるだろう。
反面、やり遂げられなかった挫折体験がばねとなり、その後の人生に少しは活かされているような気もしないではない。

人生はそう単純ではない。

過去の活動実績だけに未来が制約されるわけでもない、というのが私の感想。

(上記の文章は、筆者のオリジナルであり、無断転載をかたく禁じます)