2017-01-01から1年間の記事一覧

外資で働く(5)-賃金

外資と日本企業では、賃金制度や運用に大きな違いがある。これまでの経験から、ポイントをまとめてみる。 1.職務給的考え方が基本である: 日本の企業では、「職能給」即ち、能力に応じて上がっていく「属人給」賃金が主流であるが、元々は勤続年数をベー…

新「会社人間」主義ー目標管理制度

最近脚光を浴びている目標管理は古くて新しい手法である。我が国の経営学のブームのきっかけを作ったドラッカー(P.F.Drucker)は、「目標による管理」について、1950年代に以下のように述べている。 今、企業が必要としているのは、個々人の力と責任とに広…

新「会社人間」主義ー自己評価と他人評価のギャップ

成果主義賃金を熱望する人は、そうなれば自分の収入は上がると思っている。現実にはそうではない。一部の人は大いに上がるであろうが、上がらない人と下がる人の合計の方が多いであろう。そもそも、人間は自分というものがかわいい生き物であるから、自分の…

新「会社人間」主義ー日本の会社の人事労務制度

経営効率と、ゆとりある個人生活は両立するに越したことはないが、そうでない場合も多い。日本の大会社で採っている人事労務諸制度について簡単な検証表を掲げてみる。詳しい説明はそれぞれの箇所で触れることにする。 (新「会社人間」主義ー私の考える「ホ…

Make A Break!

(2012年11月30日・・・早期退職を申し出たときの日記から) Days like that really seemed to make the wheel stop. On the surface it was jolly and happy go lucky; time passing like a sticky dream. But underneath it was fatalistic, premonitory, …

早期退職

(以下の日記は2012年12月15日に書いたものをそのまま載せている。) 早期退職の申告を上長にしてから2週間ほど経過した。 辞めると決めてから、周囲の景色は若干違って見えるものの、それほどの感慨はない。在籍出向した会社を含めると3つの会社で働いた…

ありのままにーSee how still and beautiful everything is

若い頃、Henry Millerの『Tropic of Capricorn(南回帰線)』をむさぼり読んだ。 その中に、夜、側溝に落ちているキャベツを拾って眺めながら世界の美しさに感動するという、映画の一シーンのような描写がある。 日用の糧を得るため雑事に追われていると、自…

やる気が出ない日には

暑い日が続いたりして、何となくやる気がおきないときは、元気の出る言葉を眺めて、内なる炎に火をつけよう。 Eleanor Roosevelt said, "If you identify the fear, look at it and then gotoward it...then it will disappear" Action is the cure for fear…

新「会社人間」主義ー成長の方程式

あなたは、会社生活で自分に何を付加していくつもりだろうか。長くいるつもりなら、成長する手だてを考えなければ損である。 会社の中で個人が成長するということは、自分の仕事において立派な成果が出せるようなプロになるということであるけれども、成果は…

挫折経験と成長-"Cheeseburgers"より

"I remember vividly the last time I cried."で始まるBob Greene の Cutという小品を久しぶりに読んだ(Cheeseburgers: Kodansha English Libraryより)。 12歳の時にバスケットボールチームの選手リストからはずされた(Cut)回想に始まり、成功者にはそうい…

平安の祈り

「神様 私にお与え下さい 変えられないものを受け入れる落ち着きを 変えられるものを変える勇気を そしてその2つを見分ける賢さを THE SERENITY PRAYER God grant me the serenity to accept the things I cannot change, courage to change the things I c…

新「会社人間」主義ー会社に民主主義は必要か

まず、自分に対する評価が不公平だと言って嘆く前に、会社というところに民主主義が必要かどうかを考えてみる必要がある。 会社というものは従業員の為だけにあるわけではないし、従業員にとっても会社生活が世界の全てではない。近代市民社会に当然要求され…

新「会社人間」主義ー日本的雇用慣行の特徴

日本的雇用慣行の特徴として常々指摘されるのは、 a.終身雇用(長期雇用) b.年功序列賃金 c.企業別組合 の3つである。これらは、元々は近代的大企業において技能・職務の標準化・細分化・専門化が進展することに伴い、基幹労働者が不足する状況の中で、企…

外資で働く(4)-オフィスの風景

勤務先の外資系企業の東京本社には、スウェーデン人、ニュージーランド人、モンゴル人が勤務している。もっとも、グローバル本社から出向者(Expatriate)として赴任してくる場合を除けば、外資系企業に外国人が勤務することは必要条件ではない。日本市場で日…

外資で働く(3)-外国人幹部による採用面接

外資系企業で幹部人材を採用する場合、グローバル本社や地域本部の外国人幹部との面接が必須のプロセスとなる。きちんと事前準備をせずにこの面接をパスするのは、日本語で日本の大企業の採用面接をパスするより数段難しいと思わされる出来事があった。 英語…

外資で働く(2)-日本企業との違い

物事には原則と例外があるので、一般化するのは危険なことを承知で、外資系と日本企業で働くことの違いを一覧表にしてみた。 詳細の解説は、これから順次ブログにて行う予定。 項目 外資系企業 日本の伝統的大企業 共通点 「ひと」が働いている 相違点 採用…

外資で働く(1)ー外資系企業とは?

100%外国資本の会社に転じて5年近くになるが、日本の会社とは、就労環境や文化がかなり違うと感じており、またそのことが興味深くもある。日本企業にしか勤めたことのない人にとっては未知の世界であると同時に、怖いもの見たさで覗いてみたい気もするとこ…

新「会社人間」主義ー評価誤差

人が人を評価する際に、公平に偏りなくするというのはかなり難しいことである。評価者が陥りやすいパターン例として以下のものがある。 評価の結果は、報酬や処遇の形になって本人に戻ってくるから、公平性や納得性を確保する為に、客観的であろうとすること…

採用雑感(11)-GRIT(やり抜く力)

「GRIT The Power of Passion and Perseverance,やり抜く力(Angela Duckworth著)」という本が売れている。 成功するために大切なのは、優れた資質よりも「情熱」と「粘り強さ」―すなわち「グリット(GRIT)」=「やり抜く力」だという。IQ(知能指数)のような…

新「会社人間」主義ー新入社員のマナー

大学を出ると、通常は総合職、つまり幹部職員候補として採用される。もっとも、女子大出身だと、まだまだ補助職(一般職・事務職)として採用されることが多いかもしれない(今後は徐々に変わっていくと思うが)。 大学でどんなに高級なことを学んだとしても…

採用雑感(10)-キャリアの棚卸

応募者が採用面接用に準備する書式は、履歴書と職務経歴書のセットである。転職を考え始めた頃、職務経歴書の書き方が分からずにインターネットで検索したことを思いだす(無料で結構良いものが公開されていた)。 職務経歴書は、過去に経験した職務内容と実…

新「会社人間」主義ー仕事とやりがい

仕事とは何か? 「まず働くこと、それは生活の基盤であり、人生の主要部分である。働く場は自分の夢や希望、志を実現する生きがいの場所でもある。仕事への興味はそこにつぎ込んだ情熱に比例する。達成のために苦労があるが、それがないと喜びもないだろう。…

新「会社人間」主義ー貴方の側からの選択肢

今の学生に人気があるのはどのような企業であろうか。 1997年の男子大学生の人気企業ランキングは以下のようになっている。 経営者や採用担当者の口癖として、「寄らば大樹、のような人間には来てほしくない」というものがある。しかし、自分達の若い頃はど…

採用雑感(9)-人生の振り返り

「採用」という仕事が特段好きというわけではないが、人々が面接の場にたどり着くまでの活動の一端を垣間見ることができる点では、貴重な機会ではある。 これまでの人生の中で、何を考え、どのように行動してきたのかを、30分から1時間のインタビューの中か…

採用雑感(8)-多数決

随分昔、採用担当として働いた頃の記憶が今でも断片的に蘇る。最初の会社を3ヶ月で辞め、運よく拾ってもらった次の会社の工場勤労担当として不平不満ばかり言っていた若造がいきなり本社に異動し、会社を代表して学生に説明をする立場に変わった。上場こそす…

採用雑感(7)-EQ

採用面接のプロセスは会社によって異なるが、営業・技術・財務等募集Positionの部門のマネージャーの面接と、人事マネージャーの面接は欠かせないステップになると思われる。部門責任者の面接では、募集ポジションのJob Description(職務記述書)に見合う経…

新「会社人間」主義ー人事処遇における「予測可能性」

これからの日本の人事処遇制度で最も考慮すべきポイントのひとつは、処遇における予測可能性をどの程度まで低くしていくかということである。ありすぎるとモラールダウンになる。なさすぎると恐怖政治になり、いつもびくびくして上の顔色を窺いながら、他人…

新「会社人間」主義ー仕事の完成度と上司

手でこね回すように、丁寧に仕事をしている者がいる。 あるいは、子供がままごとの茶碗や箸をいじくり回すように、際限なく時間をかけて書類を作成している者がいる。本人からすれば、少しでもましな作品にしようと努力している(あるいは、そのように周囲に…

新「会社人間」主義ー大企業病

大きな会社に長く勤めていると、会社のブランドや名声が、自分の価値そのものだと錯覚してしまうことがある。会社の看板を背負って注文を取っていることを忘れてしまい、あたかも自分ひとりの力でやっているような気になってしまう。 現実には、大きな組織の…

新「会社人間」主義ー肩書の示すもの

肩書は、組織の中における役割と権限を示すものではあるが、必ずしも、その人の担当職務の市場価値や専門性の深さを表すとは限らない。そもそも、職種自体が社会に通用するものであれば、このような内部の階層を示す名前を付ける必要はない。組織を超えて職…